アメリカの「フォーブス」誌は毎年、世界の長者番付を作成している。これらの成功者は、実際にどのくらい大きな成功を手にしているのだろう。その答えは「成功」をどう定義するかによって変わる。社会における「成功」の基準は何か、社会において「評価」されるのは何か。それによって、人々の行動は変化する。現代社会は、人々を物質的な成功に導こうとする。社会をひとつに結び付けているのが経済成長だからだ。
「成功の定義」は時代によって変わる
フォーブスリストの上位にランクインしているウォーレン・バフェットは、自分が石器時代のフォーブスリストに入るのは絶対に無理だっただろうと認めている。「もし私が数千年早く生まれていたら、動物の恰好の餌食になっていただろう」と。
2000年前から存在し、社会の評価に左右されない「成功の定義」とは何か。それは「内なる成功こそが、真の成功」だというものだ。「内なる成功」とは、心の充実や平静さを手に入れることである。平静な心を保つのは、幸福な人生を送るためのもっとも有効な手段のひとつであり、同時に西洋思想では理想とされる心の状態でもある。
「内なる成功」を手にするために
それには、私たちが影響を及ぼせることだけに意識を集中させ、それ以外のことは一貫して意識から切り離しておくことだ。つまり、「外の世界」ではなく、「自分の内側」に意識を集中させるのである。自分の内側はコントロールできても、外の世界に対しては、私たちは力を持たない。お金、権力、人気といったものを、自分でコントロールするのはほぼ不可能だ。それなのに、そうしたものに重きを置いていると、それらを失ったときに動揺してしまう。
1日の終わりに、その日の自分を批評する時間を持とう
今日はどこに問題があっただろうか。あなたのコントロールの外にある出来事のうち、あなたを動揺させたのは何だったろうか。その動揺から立ち直るのに、どのような手段をとっただろうか。「内なる成功」に完全に到達することはできなくても、生きている限り努力しつづけることはできる。あなたの内面を平静にできるのは、あなた以外にはいない。
私たちが高級ブランド品を買うのは、実用目的というよりも、むしろ、それを眺めて、あるいはそれに向けられる羨望のまなざしを通して満ち足りた気分を味わいたいからだ。どこをどう経由しても、結果は同じだ。外の世界での成功を目指している人たちも、その目的は結局、心を充実させることなのだ。
それならば、精神的な幸福を得るために、どうして外側の成功という回り道をしなくてはならないのだろう。はじめから内側の成功を目指したほうがいいのではないか。幸せな人生の秘訣は、最初から「内なる成功」を目指すことなのだ。
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